外崎春雄監督の映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」を観ました。
大正時代、食人鬼を退治する非政府組織鬼殺隊の竈門炭治郎(花江夏樹)、我妻善逸(下野紘)、嘴平伊之助(松岡禎丞)、炭治郎の妹で鬼ながら隊士と成った禰豆子(鬼頭明里)の4人は、東京発の無限列車に乗り込み、鬼殺隊の幹部である柱の煉獄杏寿郎(日野聡)と合流する。無限列車では短期間に数十名が行方不明と成っており、鬼が居ると考えられ鬼殺隊隊士が何度か派遣されていたが、いずれも行方不明と成った。その為、煉獄が派遣され、炭治郎達は補佐をする事と成ったのだった。やがて車内に鬼が現れ、煉獄が鮮やかに次々と退治する。炭治郎達は感激し、煉獄への弟子入りを志願するが、それは全て夢であり、全員座席で眠っていた。無限列車には、鬼の中でも最強の十二鬼月の1人、下弦の壱である魘夢(平川大輔)が巣くっており、炭治郎達は魘夢の血鬼術により眠らされていた。魘夢の血鬼術は眠らせた人間に心地良い夢を見せ、配下の人間をその夢に侵入させ、夢の外側の無意識空間にある精神の核を破壊させるもので、精神の核を破壊され廃人と成った隊士を食べるつもりだった。夢の中で、炭治郎は鬼に殺された家族と再会し、善逸は人間の禰豆子とデートをし、伊之助は炭治郎達を手下として引き連れて探検をするなど楽しい時間を過ごしていたが、煉獄は過去を追体験していた。炭治郎の背負う箱の中に隠れていた禰豆子は眠っておらず、箱から出て異変に気付き、炭治郎を起こそうと奮闘するが、夢に侵入した人間達は、ぞれぞれ精神の核を見付けるのだった、といったあらすじです。
吾峠呼世晴の漫画「鬼滅の刃」の無限列車編をアニメ映画化した作品です。今や、観ていない人の方が少ないのではないか、というくらい大ヒットしていますが、遅ればせながら劇場で観てきました。というのも、我が家でも「鬼滅の刃」のテレビアニメをこの冬観ていたのですが、先日テレビアニメの続編の発表があり、その内容が本作の続きからというので、続編放送前に観ておかねばと、慌てて行ったのです。観て驚いたのは、本作はテレビアニメの完全な続きなのです。映画に至るまでのあらすじ紹介なんてものも無く、いきなりテレビアニメ最終回直後から始まるので、テレビアニメを観た人か、原作を読んでいる人でないと理解出来ないと思います。
テレビアニメの続きで、監督の外崎もアニメ制作のユーフォーテーブルもテレビと同じ、という事で、テレビアニメをそのままスクリーンに映したものではないか、という恐れがありましたが、実際は映画ならではの素晴らしい映像作品でした。作画の素晴らしさはテレビアニメでも有名ですが、本作の作画は息をのむ程の美しさがあります。特に、冒頭のお館様(森川智之)の墓参り、炭治郎の無意識空間、炭治郎と魘夢(人間体)の戦い、煉獄と猗窩座(石田彰)の戦いのシーンは圧巻です。ピクサーやドリームワークスなどのリアルな3DCGアニメーションを見慣れた目にも、本作の映像美に新鮮な感動を得ることでしょう。
そして、映像も素晴らしいのですが、物語、込められたメッセージが素晴らしいのです。私にしては珍しく原作を読んでいるのですが、元々素晴らしい原作の物語を、本作はさらに拡大しているのです。本作を観ていて、良い歳したこのおっさんが何度涙したことか(笑)何より煉獄の魅力にはシビれます。本作を観るまでは、煉獄さんを300億の男に、何て騒いでいるのを冷ややかに見ていたのですが、今じゃ、煉獄さんを400億の男に、と思ってしまっているくらいです(笑)
次のテレビアニメも、間違い無く本作を観た前提で始まるでしょうし、大きな画面に映える映像美を劇場で堪能して欲しいです。そして是非、煉獄さんを400億の男にしてやって下さい。