英国のグループ、
レッド・ツェッペリンのアルバム「
レッド・ツェッペリンIV/
レッド・ツェッペリン」を紹介します。
1971年に発売された、レッド・ツェッペリンの4枚目のアルバムにして最大のヒット作です。
ロバート・プラント(ヴォーカル)、ジミー・ペイジ(ギター)、ジョン・ポール・ジョーンズ(ベース、キーボード)、ジョン・ボーナム(ドラムス)の4人からなるレッド・ツェッペリンは、1968年のデビュー以来、英米を股に掛けたライヴで活躍していましたが、1970年の終わりに一旦ライヴを休止し、じっくりと制作されたアルバムが本作です。
ヘッドリィ・グランジという山荘に移動式スタジオを持ち込んだ1週間のセッションを中心にした本作は、ハードなロック、クラシカルなロック、フォーク、ブルース等のバラエティに富んだ曲が並び、演奏も充実しています。
その内容に自信があってか、ジャケットからは一切の文字情報が排除され(その為、本作にはアルバム・タイトルがありません、レッド・ツェッペリンIVは通称です)、中身の音楽だけで勝負するという姿勢で発売されましたが、見事大ヒットを記録しています。
「ブラック・ドッグ」古い黒人霊歌を思わせるコール&レスポンス形式で、ヴォーカルと楽器が交互に登場するハードなロック。ジョーンズが考案したという少々複雑なリフと、プラントのキレッキレな高音ヴォーカルが魅力です。
傍目(傍耳?)にも演奏がかなり難しそうな曲で、途中リズムがもたつく所もありますが、それは御愛嬌としてノリの格好良さを楽しむべきです。
「ロックン・ロール」その名の通り、クラシカル(といっても本作の時点では一昔前)なロックンロールをストレートに演奏しています。装飾を排して、レッド・ツェッペリンというバンドの演奏力の高さをアピールしたものと思われます。
移動式スタジオの管理者だったイアン・スチュアートが、後半にピアノで参加しています。
「限りなき戦い」英国の伝承歌(南米のフォルクローレなノリでもあります)を思わせるアコースティックな曲で、ペイジの多重録音によるマンドリンと、ジョーンズによるアコースティック・ギターに乗せて、プラントとゲストのサンディ・デニーが歌っています。
「天国への階段」伝承歌風なフォークからハードなロックへと変貌していくレッド・ツェッペリンの代名詞的名曲。8分間に渡り曲を繰り返しながら楽器編成を変え発展していきますが、自然なアレンジで違和感無く一気に聴かせます。
ジョーンズによるリコーダー合奏(多重録音)を伴うアコースティックな演奏、12弦ギターにエレクトリック・ピアノを添えたセミ・アコースティックな演奏、ジャジーなドラムスを加えたロックな演奏ときて、ファンファーレ的合奏を入れて壮大なギター・ソロへと突入します。ドラマティックな演奏に負けないプラントのヴォーカルも見事です。
「ミスティ・マウンテン・ホップ」多重録音によるユニゾンのヴォーカル、ギターとエレピのユニゾンによるリフという賑やかなサウンドによるポップな曲。ポップな世界に狂気を入れ込むヴォーカルのキレ具合が聴きものです。
「フォア・スティックス」5拍子によるハードなロックに、6拍子のアコースティックなサビを入れた面白い構成の曲。1人で太鼓隊を再現するかの様にドラムスを叩きまくり続けるボーナムが凄いです。
「カリフォルニア」アコースティック・ギターとジョーンズによるマンドリンのみをバックに、プラントが朗々と歌い上げるフォークな曲。賑やかな前2曲と次のディープな曲を繋ぐ良い箸休めと成っていますが、単体で聴いても良い曲です。
「レヴィー・ブレイク」メンフィス・ミニーの古いブルースをメンバー全員によるアレンジでハードなロックに変貌させています。印象的なハーモニカはプラントによるものです。
英国のロック・ミュージシャンは、何かコンプレックスでもあるのか、やたら米国の古い形式のブルースを演奏したがりますが、ここではそんなエセ・ブルースでは無い、本物のブルースが聴かれます。何より、格好良過ぎるボーナムのドラムスが説得力有り過ぎです。
レッド・ツェッペリンが自分達の音楽性の幅広さを誇示したかの様な内容ですが、各曲の完成度の高さと良い、一般的なイメージによるロックの理想型が収められているといえる歴史的名盤です。