ベン・アフレック監督の映画「
ザ・タウン」を観ました。
現代の米国ボストンが舞台。
ボストンのチャールズタウンは全米屈指の犯罪多発地帯として知られ、住民達は自分達の町をタウンと呼んでいた。タウンに暮らすダグ・マクレイ(アフレック)はプロのアイスホッケー選手を目指した事もあったが、現在服役中の父スティーヴン(クリス・クーパー)と同じく犯罪に手を染めていた。ダグは、ジェム(ジェレミー・レナー)、グロンジー(スレイン)、デズ(オーウェン・バーク)と組んで銀行強盗を行っていたが、ダグは誰にも危害を加えず証拠も残さない事を信条としていた。また、ジェムはダグの元恋人クリスタ(ブレイク・ライヴリー)の兄で親友だったが、好戦的で危険な男だった。
ダグ達は、タウンの犯罪者の元締めである花屋のファーギー(ピート・ポルスウェイト)からの仕事で銀行を襲うが、予定より早く警察が駆け付けた為、仕方なく銀行の支店長クレア・キージー(レベッカ・ホール)を人質に捕り逃走する。無事逃げ切ったダグ達はクレアを解放するが、奪った身分証からクレアもタウンの住民である事を知る。ジェムは直ぐにでもクレアを殺そうといきり立ったがダグは制止し、ひとまずクレアの様子を探る事にする。
正体を隠しクレアに接触したダグであったが、やがて2人は恋に落ちる。ダグは足を洗ってクレアと共にタウンを出る事を考え始めるが、FBI捜査官のアダム・フローリー(ジョン・ハム)はダグを銀行強盗事件の主犯と睨んで捜査していた、といったあらすじです。
根は善人ながら、周囲の人間が全員悪人な為に悪人として振る舞わざるを得なかった男が、愛する人を見付けて何とか足を洗おうとするも、がんじがらめで大きな犯罪へと陥れされようとする様を描いた映画です。
悪い事してたらろくな目に遭わない、という教訓めいた映画とみせて、凄まじい銃撃戦シーンへと突入していく、何ともカタルシスな作品です。
原作の小説があるそうですが、それにしては終盤が都合良くまとまり過ぎだなと感じます。それ以外は大変良く出来た映画で、特にタウンの悪達のリアリティは見事です。
今では、弓が上手で真面目な正義の味方、というイメージのレナーが、どう見てもヤバイ奴を体現しているのが凄いです。設定では表面上ダグも同等以上の悪人なはずなのですが、全くそうは見えなかったのが逆効果でしたが(笑)
あと、名優ポルスウェイト(これが遺作?)が、やはりイメージに無い悪の親玉を演じていたのが印象深かったです。優しい花屋さんが実は極悪人、名演なくしては有り得ないキャラクターですね。
銃撃戦シーンは派手でも、作品全体としては地味な映画ですが、アフレックの骨太な演出、俳優達の名演が光る、なかなかの傑作だと思います。