本多猪四郎監督の映画「
ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣」を観ました。
無人探査船ヘリオス7号が木星探査へ向かうが、出発から4ヶ月後、宇宙空間で不定形の輝く物体に侵入され、物体に操られる様に進路を変えて地球へ戻る。
カメラマンの工藤太郎(久保明)は取材旅行からの帰り、乗っていた航空機が南太平洋上にあった頃、ヘリオス7号と思われるカプセルがパラシュート降下しているのを目撃する。帰社後、工藤はヘリオス7号の探査取材を申し出るが、会社には相手にされなかった。
その後、工藤にアジア開拓という観光会社の宣伝部員、星野アヤ子(高橋厚子)より写真撮影の依頼が入る。それは、アジア開拓が観光開発をしている南太平洋のセルジオ島の宣伝写真を撮る仕事で、工藤は当初乗り気でなかったが、同行する生物学者が旧知の宮恭一博士(土屋嘉男)であり、宮博士がセルジオ島の怪物伝説を教えてくれた事、セルジオ島がカプセルが降下していた場所の直ぐ近くである事で工藤は引き受ける。
工藤、星野、宮博士の3人は船でセルジオ島に向かうが、その船には世界風俗研究家と称する小畑誠(佐原健二)も乗っており、小畑は工藤達と行動を共にする。セルジオ島にはアジア開拓の横山(当銀長太郎)と佐倉(大前亘)が駐在していたが、2人は現地住民が禁漁区としている海岸で釣りをしていたところ、海中より現れた巨大な触手に襲われ、佐倉は海に引きずり込まれてしまう。その後、横山は通訳のリコ(斉藤宜丈)と共に工藤達を出迎えるものの、巨大生物への恐怖から混乱し、工藤達を置いてリコと2人で駐在所へ戻り、日本へ帰国しようと支度を始める。しかしそこへ、巨大な触手の持ち主、巨大なイカが上陸して駐在所を破壊し、横山は死亡、リコは記憶喪失と成ってしまう、といったあらすじです。
何とも強烈なタイトルの映画ですが、そのタイトルに惹かれた怪獣好きの次男(小2)に請われて観ました。
謎の宇宙生物に取り付かれたイカ、カニ、カメが、ゲゾラ、ガニメ、カメーバという怪獣と成って大暴れし、それに普通の人々が知恵と勇気を振り絞って立ち向かうという特撮映画です。
後で知りましたが、本作は円谷英二が亡くなった直後(1970年)に制作された映画で、特撮監督は円谷の弟子である有川貞昌が担当しています。
偉大な円谷に捧げる作品として相当気合いが入っていたのか、その特撮は着ぐるみ怪獣の集大成とでもいうべき迫力があります。見た目は単なる巨大な魚介類ですが、動きが余りに見事です。
怪獣の元凶である宇宙生物の設定も良く考えられており、大人の鑑賞にも堪えうる内容と成っています。
タイトルは大人の食指を動かすものではありませんが、その中身は日本の特撮技術を再評価させる見事なものです。観らず嫌いではもったいない、隠れた(?)怪獣映画の傑作です。