三池崇史監督の映画「
極道大戦争」を観ました。
現代の架空の下町商店街が舞台。
暴力団神浦組の組長神浦玄洋(リリー・フランキー)は人情味のある組長として住民達から慕われ、超人的な身体能力でヤクザ達からは恐れられていたが、その正体はヤクザ・ヴァンパイアだった。神浦はヤクザ・ヴァンパイアとしての能力を維持する為に堅気の血を吸う必要が有り、法眼(でんでん)が店主を務める居酒屋の地下にヤクザ達を飼い、更生させて堅気と成ったところでその血を摂取していた。
神浦に憧れて神浦組に入っていた影山亜喜良(市原隼人)は、敏感肌の為に刺青を入れられず組員達からは軽視されていたが、その心意気を買われて神浦には可愛がられていた。ある日、影山と神浦が2人で商店街を歩いていると、ある組織から使わされた刺客、伴天連(テイ龍進)と狂犬(ヤヤン・ルヒアン)が現れ2人に襲いかかり、影山は直ぐに倒され、神浦は首をもぎ取られてしまう。影山が気が付くと神浦は生首の状態だったが息が有り、ヤクザ・ヴァンパイアの道を行けと言って影山に噛みつき絶命する。それから影山は背中に刺青が現れ超人的な身体能力を手に入れるが、堅気の血を吸わずにはいられなくなってしまう。影山に血を吸われた人間は同じくヤクザ・ヴァンパイアと成り、商店街はヤクザ・ヴァンパイアで溢れていく。
神浦を殺した刺客を呼び寄せたのは神浦組の若頭膳場壮介(高島礼子)であったが、ヤクザ・ヴァンパイアばかりで堅気が居ない状況では組の立場は無く、影山が新たな脅威として立ちはだかっており、組織より最強の殺し屋KAERUくん(三元雅芸)を呼び寄せる、といったあらすじです。
三池は来る仕事は拒まないという職業監督として知られ、次から次に監督作を発表する多作家なのですが、そんな三池に珍しくスケジュール空いた時(2015年)があったそうで、その時に自分が撮りたい映画を撮りたい様に撮ったという作品です。
そんな本作は、荒唐無稽、意味不明、面白ければ何でも良いという、職業監督状態と成る前の初期の三池が帰ってきたかの様な傑作です。
ヤクザ映画でも無ければ、ホラー映画でもありません、そんなものを期待して観たら裏切られる、というか頭にくる人も居ることでしょう(笑)
ひたすらお笑い、意味の無いギャグを連発しているだけです。何か意味ありげな事を言ったり行動をとったりしていますが、そこから何にも展開して行きません、すべてはその場限りのギャグなのです。
観る人を選ぶ様な映画ですが、選ばれた人には最高に面白い映画です、腹がよじれるくらい笑えます。シュールなものからベタなものまで笑いどころ満載です。
笑える映画ながらアクションも最高です。鍛え上げた肉体を披露している市原も見事ですが、ヤヤンと三元が凄過ぎます、人外な強さの表現が見事です。
女子高生ヤクザ(優希美青)、看護婦ヤクザ(桜井ユキ)といったインパクトのあるキャラクターが多数登場しますが、そんな中で小学生ヤクザこと伊沢マサルを演じていたのが坂口茉琴という女性だったのには驚きました(後で知りました)。
そして不動産屋ヤクザ(演じているのは衣装を提供している会社の元社長なのだそうです)の台詞、不動産屋の端くれとして語らせてもらいますが、あれは本当です(笑)