エリア・カザン監督の映画「
波止場」を観ました。
公開当時(1954年)の米国の港町が舞台。
テリー(マーロン・ブランド)はプロボクサーであったが八百長をやらされた事から引退し、港で船の積荷を運ぶ労働者と成っていた。労働者達はギャングのジョニー(リー・J・コッブ)によって支配されており、テリーの兄チャーリー(ロッド・スタイガー)はその幹部であった。ジョニーは港で起きた数々の殺人事件の首謀者であったが、証言に立つ者が無く逮捕される事は無かった。
ある日テリーはジョニーの命令で、ジョニーに逆らい立てこもっていた友人のジョーイ(ベン・ワグナー)を誘い出すが、直後にジョーイは殺害されてしまう。事件を受けて、ジョニーに対抗するバリー神父(カール・マルデン)が教会で労働者の会合を開く事に成るが、ジョニーはそこにテリーを送り込む。会合はジョニーの手下達により暴動と成り、混乱の中からテリーはイディ(エヴァ・マリー・セイント)を助け出すが、彼女はジョーイの妹だった。
イディに惹かれたテリーは、彼女やバリー神父と親交を持つうちに考えを改め、ジョニーを有罪にすべく証言をする決心をするが、それを察知したジョニーはチャーリーに弟を黙らせるよう命令するのだった、といったあらすじです。
日本にはプロレタリア文学なんてものがありますが、本作はプロレタリア映画とでも呼びたい作品です。内容もそうですが、映像も実に無骨で、米国の映画ながら、ロシアというかソ連の映画の様な雰囲気なのです。
チンピラに身を落とした青年が恋愛を経て立ち直りギャングに立ち向かっていく、という内容の振りをして、労働者達が搾取する者達に団結して立ち向かう、という内容が本筋といえるでしょう。
という訳で、一般的な米国映画のイメージとは違って、かなりエンタテインメント性が抑えられた演出がなされていますので、気合いを入れて観ないと眠く成ってしまうかもしれません(笑)
ブランドの代表作として知られていますが、ブランド目当ての軽い気持ちで観始めると、その内容の重さに返り討ちに遭う事でしょう(笑)
それにしても、元とはいえ、プロボクサーの強さって、あんなものなのですかね?ギャング達がやたら強かったって事なのでしょうか?ネタバレに成るので詳しくは述べられませんが・・・