ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の映画「
ブレードランナー2049」を観ました。
21世紀、人類はタイレル社が開発した人間と見分けの付かない人造人間レプリカントを労働力として使用する様に成ったが、自意識を持つレプリカント達は反乱を起こし、人類の支配を逃れ潜伏する者が現れ始める。その為、人類は潜伏する反乱レプリカントを探し出し殺処分する、ブレードランナーを組織した。
2022年に反乱レプリカント達は核爆弾を使って大停電を起こし、あらゆる電子記録を消滅させ、世界をより潜伏し易くするが、人類はレプリカントの製造を禁止する。しかし2036年にウォレス社社長ニアンダー・ウォレス(ジャレッド・レト)が、密かに開発していた人類に絶対服従する新型レプリカントを発表し、レプリカントの製造は再開された。
2049年の米国ロサンゼルス、新型レプリカントのK(ライアン・ゴズリング)は、ロサンゼルス市警所属のブレードランナーとして旧型レプリカントを解任と称して殺処分する仕事をし、ウォレス社製の人工知能搭載ホログラムのジョイ(アナ・デ・アルマス)を恋人として暮らしていた。Kは農夫として暮らしていた旧型レプリカントのサッパー・モートン(デイヴ・バウティスタ)を解任するが、その家の枯れ木の根元から女性の遺骨が発見される。女性は子供を産んだ直後に死亡していたが、女性は旧型レプリカントだった。レプリカントが生殖出来ると知られれば大混乱が起こると、Kの上司であるジョシ警部補(ロビン・ライト)は、生まれた子供を探し出し解任するようKに命じる。
Kは遺骨の女性の情報を調べにウォレス社を訪ねるも大停電により有益な情報は失われていたが、社長付レプリカントのラヴ(シルヴィア・フークス)が女性(ショーン・ヤング)とブレードランナーのリック・デッカード(ハリソン・フォード)の会話の音声記録を探し出す。その音声から、Kは女性がデッカードに好意を寄せている事を感じ取り、元ブレードランナーのガフ(エドワード・ジェームズ・オルモス)に会うなどしてデッカードの行方を追う。
一方ウォレスは、タイレル社が生殖可能なレプリカントを開発していたという情報を得ていたが、自らは開発出来ずにいた。ロサンゼルス市警がレプリカントの子供を追っていると知ったウォレスは、生殖技術解明の為にラヴに子供を探し出すよう命じ、彼女はKの行動を監視する。また、謎の女性(ヒアム・アッバス)の指令で、娼婦として働く新型レプリカントのマリエット(マッケンジー・デイヴィス)がKに近付く、といったあらすじです。
まずは、
うじゃくさんに感謝申し上げます。本作を観られたのは、前売り券(画像右側の2枚)をプレゼントして下さいました
うじゃくさんのお陰なのです。
しかし、ここからは、うじゃくさんに気を遣った感想を述べる訳ではありません、全く正直な感想です。何しろ本当は、観に行くつもりは全く無かったのですから。
本作は「ブレードランナー」(リドリー・スコット監督)の30年後を描いた続編に成ります。僕はその前作の大ファンであり、前作は僕が最も多い回数を繰り返し観ている映画の1つでもあります。
またさらには、前作の原作であるフィリップ・K・ディックの小説「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の読書感想画を中学生の時に描いてしまったような筋金入り(笑)です。
そんな僕の思いは、前作には続きは無い、です。そもそも原作に続きが無いのですから。
それでもスコットが監督するなら少しは食指が動くのですが、スコットが監督を降りて制作に回ったと知り、観る気は完全に失せました。
そんな時に前売り券を頂き、せっかくなので妻と2人(PG12なので子供達には遠慮してもらいました)で観て来たのですが、うじゃくさんには感謝というか頭が上がりません、観なかったら絶対後悔する大傑作だったのです。
ヴィルヌーヴの過去の監督作は残念ながら観た事が無いのですが、本作はスコットが監督したとしても無理だったのではないか、というくらい見事に前作の世界感そのままです。ゴチャゴチャしているようで静謐で美しい映像世界は、前作以上にその中で暮らしたいという思いが強いです(というかジョイちゃんと暮らしたいw)。
ストーリーは全く違う展開ながら、随所でさりげなく前作にリンクさせている作りも最高です。また、前作のキャラクター達への温かな目線が間接的に描かれているのも感動的です。
前作を観ていない人には全く縁の無い映画だと思いますが、是非そんな人も急いで前作を観てから本作を観て下さい、この2本を観ていない人生なんて僕には考えられないです。
さらには2本の間を繋ぐ、「ブレードランナー ブラックアウト2022」(渡辺信一郎監督)、「2036:ネクサス・ドーン」「2048:ノーウェア・トゥ・ラン」(ルーク・スコット監督)の3本の短編も、本作鑑賞の前に観ておく事を強くお勧めします。3本とも現在はネット動画として観られますので検索してみて下さい。
隅から隅まで最高の傑作ですが、1つだけ欲をいえば、エンドロールにはヴァンゲリスの「ブレードランナー(エンド・タイトル)」を流して欲しかったですね。ベンジャミン・ウォルフィッシュとハンス・ジマーも、見事にヴァンゲリスの音楽世界を引き継いでいましたが。