ジョー・ライト監督の映画「
ハンナ」を観ました。
現代のヨーロッパ及びモロッコが舞台。
15歳のハンナ・ヘラー(シアーシャ・ローナン)は、フィンランドの人里離れた森の中の山小屋に父のエリック(エリック・バナ)と2人だけで暮らしていた。エリックはハンナに、近接格闘術、サバイバル術、語学などを教え込み、ハンナは父を凌駕する程の能力を獲得していた。ハンナが2歳の頃、母親のヨハンナ(ヴィッキー・クリープス)がCIAエージェントのマリッサ・ウィーグラー(ケイト・ブランシェット)に殺され、ハンナとエリックもCIAから追われていたのだった。
ある日、用意が出来たというハンナは、エリックから外界へ出られると教えられていた装置を作動させる。するとエリックは1人で旅立ち、山小屋に残ったハンナは間もなく現れたCIAエージェント達に捕らわれる。護送先の施設で、マリッサを名乗る女性エージェント(ミシェル・ドッカリー)を殺害したハンナは、仇を討ったと勘違いしたまま施設を脱出するが、そこはモロッコの砂漠だった。ハンナは、家族で旅行中の英国人少女ソフィー(ジェシカ・バーデン)と親しく成りながら、エリックとの合流地であるドイツのベルリンを目指す。
一方、マリッサは元エージェントのアイザックス(トム・ホランダー)を雇ってハンナとエリックの行方を追い、ハンナがマリッサ殺害に失敗したと悟ったエリックは自らマリッサ殺害に向かう、といったあらすじです。
超人的な戦闘術を身に付けた少女が、大の男達を次々になぎ倒していく姿を描いたアクション映画です。
文芸映画の人といった感じもあるライトによる演出ですが、キレのあるアクション・シーンが見事で、格好良い映画に仕上がっています。
しかし何といっても、本作は主人公を演じたローナン無しには有り得ない映画です。
ハンナは超人的というか改造人間(詳細はネタバレに成るので割愛)なのですが、当時(2011年公開)16歳だったローナンの透き通る様な神秘的な美しさが、その設定に説得力を持たせています。僕の知る限り、ローナン以外にハンナを演じられる女優は存在しないでしょう。
主人公は魅力的でアクション・シーンも見事なのですが、内容が駆け足というか、もっとそれぞれのキャラクターが活躍するところが観たかったです。エリック、マリッサ、アイザックスという濃いキャラクターが、充分に活躍したといえる前に終わってしまうのが残念です。
本来は、映画では無く、連続テレビドラマにでもして、じっくり描くべき内容だと思うのですが、この俳優達に出てもらうのは厳しいでしょうね。