ジュゼッペ・トルナトーレ監督の映画「
鑑定士と顔のない依頼人」を観ました。
現代のイタリア(台詞は全て英語)が舞台。
ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は著名な美術鑑定家兼オークションの競売人として成功を収めていたが、元画家のビリー・ホイッスラー(ドナルド・サザーランド)と共謀して様々な女性の肖像画を格安で手に入れ密かにコレクションしていた。
ある日ヴァージルは、亡くなった両親のアンティーク・コレクションを売って欲しいという依頼を、クレア・イヴェットソン(シルヴィア・フークス)から電話で受ける。クレアの邸宅へ行くと本人は不在で、管理人のフレッド(フィリップ・ジャクソン)が居るだけであったが、広い邸宅には多数の美術品が置かれていた。何度邸宅に通ってもクレアは姿を見せず、ヴァージルは不快感をあらわにして依頼を断ろうとするが、クレアの電話での熱心な謝罪で仕方なく引き受ける。
クレアの邸宅に通う内、ヴァージルは彼女が隠し部屋に潜んでいる事に気が付く。また、何らかの機械の部品を毎回拾い、それを機械に精通したロバート(ジム・スタージェス)に鑑定を依頼する。ロバートは集まってくる機械の部品を組み立てながら、クレアが気に成って仕方の無い様子のヴァージルに、彼女に近づく為のアドバイスをおくり続ける、といったあらすじです。
あまり一般人には馴染みの無い職業であるオークションの競売人を主人公にした映画で、ストーリーよりもその仕事ぶりが興味深かったです。
トルナトーレ(脚本も担当)は相当取材をした様で、美術鑑定の裏側が充分な説得力で描かれ、含蓄のある台詞も満載でした。
映画ファンでもあり結構な美術ファンでもある僕は、この時点で大満足でした。
肝心のストーリーの方も、謎めいたクレア、謎めいた機械、謎めいた向かいのバーの客(キルナ・スタメル)とワクワク感満載です。特にクレアは「氷の微笑」(ポール・バーホーベン監督)を思わせるセイクシー・シーンもあり、最高です(笑)
本作といえば、衝撃の結末が目玉とされていますが、これがどうも納得がいきません、何か無理矢理オチを付けた様に思えるのです。数々の謎が、その結末へ必要なものだったとは思えません。その為、観終わってみれば、いったい何だったんだよ!?と少々怒りを催してしまいました。
まぁ、ラッシュの演技は最高に面白く、ストーリーの整合性を気にしなければ、見応えタップリの傑作だと思います。