ミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画「
情事」を観ました。
公開当時(1960年)のイタリアが舞台。
クラウディア(モニカ・ヴィッティ)は、親友のアンナ(レア・マッセリ)とその恋人サンドロ(ガブリエル・フェルゼッティ)と共に、友人達との地中海クルーズに参加する。クルージングの途中に小さな島に上陸した一行であったが、島を発つ際にアンナが居なくなっている事が判明する。僅かな手掛かりを元にイタリア各地をアンナを探して転々とするクラウディアとサンドロであったが、次第に2人は惹かれ合っていく、といったあらすじです。
ちょっと倦怠気味な恋人を描いた気怠い恋愛映画かと思いきや、突如行方不明と成った女性を探すミステリーへと転換し、いや転換したと思ったら腐れ縁的な男女の恋愛模様を見させられていた、という映画です。
物語の筋はきちんとあり、何も奇をてらった展開や場面がある訳では無いのですが、観終わってみれば、何だったんだこれは!?と困惑する事間違いなしの前衛作品です。
詳細を説明すると、その困惑感を味わえないでしょうから止めておきますが、愛の不毛を描いたといわれても納得出来ない内容とだけは教えておきましょう。
映像は素晴らしく、前半の黒光りする海の迫力なんて見事です。また、ヴィッティの美しさも余すところなく捕らえられ、目を楽しませる要素はたっぷりあり、観る価値は充分です。
困惑するどころか怒りを催すかもしれませんが、是非本作を体験して、こんな映画もアリなんだと知ってもらいたいものです。
公開から60年近く経つ映画ですが、いまだに新鮮に感じる傑作です。